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下大静脈フィルター留置術/抜去術
『高齢者・在宅対応も含めた “安心・安全な血栓予防治療”』

下大静脈フィルター留置術/抜去術とは

下大静脈フィルター(IVCフィルター)とは、足の静脈などにできた血栓(血のかたまり)が肺へ流れて詰まってしまう「肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」を防ぐために、大静脈(下大静脈)内に留置する金属製の小さな網状の装置です。この治療法は、すでに血栓があるけれども血液をサラサラにする薬(抗凝固薬)を使えない場合や、薬が効きにくい場合に選択されます。また、血栓の再発予防や、一時的なリスク回避目的でも使用されます。

下大静脈フィルターを行う対象疾患

  • 出血性の疾患や手術前で抗凝固薬を使用できない、腸骨静脈や大腿膝窩静脈領域の深部静脈血栓症(DVT)

下大静脈フィルター留置術/抜去術の具体的な方法

留置術

局所麻酔で行います。足の付け根(大腿静脈)や首の静脈(内頸静脈)の静脈から細い管(カテーテル)を挿入します。DA(Digital Angiography)/DSA(Digital Subtraction Angiography)(心不全センターで行う検査を参照ください)にて、腎静脈をマーキングします。カテーテルを通して、下大静脈フィルターを留置します。カテーテル挿入部を止血して、手術は終了となります。

抜去術(回収可能型フィルターの場合)

術前に下大静脈フィルターに大きな血栓がないかを造影CTで評価します。局所麻酔し、首の静脈(内頸静脈)の静脈から細い管(カテーテル)を挿入します。DA(Digital Angiography)/DSA(Digital Subtraction Angiography)(心不全センターで行う検査を参照ください)にて、再度、下大静脈フィルターに大きな血栓がないかを確認します。大きな血栓がないことを確認してから、異物回収用カテーテルを用いて、下大静脈フィルターを抜去します。カテーテル挿入部を止血して、手術は終了となります。

当院心不全センターの下大静脈フィルター留置術/抜去術の特色

  • 「高齢者や通院困難な方にも対応可能」:当院では地域包括診療体制を整え、入院が困難な方にも対応しています。在宅診療チームとの連携により、在宅での管理や退院後フォローも充実しています。
  • 「治療適応の精密評価」:超音波・CT・血液検査によるDVT/PTEリスクの正確な評価と、カテーテル治療の適応判断を行います。
  • 「回収型フィルターの使用に注力」:不要な留置を避けるため、可能な限り回収型フィルターを採用し、安全な抜去を目指します。
  • 「合併症・再発予防まで見据えた診療体制」:血栓症の原因や体質(血液凝固異常)に対しても専門的評価を行い、再発防止の包括的治療を提供します。