不整脈とは
不整脈とは、心臓のリズムや拍動の異常のことを指します。心臓は電気信号で拍動を調整していますが、その電気の流れに乱れが生じると、動悸、息切れ、失神、心停止など、さまざまな症状が現れます。
代表的な不整脈
- 洞不全症候群:ペースメーカーの異常により、心拍数が極端に遅くなる病気です。
- 房室ブロック:電気信号の伝達異常のために、一時的に心拍が停止または遅くなる病気です。
- 心房細動:心房を不規則に収縮させる不整脈で、動悸の原因だけでなく、脳梗塞を含む血栓塞栓症の原因ともなり、心不全を合併しやすい病気です。
- 心室期外収縮:心室から生じる不整脈で、強い動悸・胸部不快感などを呈する病気です。心室期外収縮が持続性に連発した心室頻拍は、心臓突然死の原因の一つです。
失神とは
失神とは、一時的に脳全体への血流が低下するために、意識が数十秒から2分程度の間なくなって、姿勢が保てなくなり、その後に自然にかつ完全に意識がもどるものと定義され、「一時的に意識を失う」状態の総称です。特に原因不明の失神は、致死性不整脈や心疾患が隠れている可能性があり、早急な精密検査が必要です。
不整脈・失神の検査・診断
当院では、不整脈・失神の評価において、標準検査に加えICM(植込み型心電計)などの手法も積極的に活用しています。不整脈による失神は、発作性で検査時に捕まらないことが多いため、ICMが非常に有効です。
- ホルター心電図:1日から数日の心電図を記録することが可能であり、最も一般的な不整脈・失神のスクリーニング検査です。
- 心臓超音波検査:心筋症・弁膜症などの併存疾患を評価する検査です。
- 植込み型心電計(ICM):皮下に埋め込み、数年間の心電図を記録できるため、原因不明の失神・潜因性脳梗塞における心房細動の検索に有用な検査です。
- 心臓電気生理学的検査(EPS):不整脈を評価するカテーテル検査です。細いカテーテル(電極)を血管から心臓の中に入れて、電気の流れを測定・再現し、電気の通り道やリズムの乱れを詳しく調べることができます。
不整脈・失神の治療
不整脈の種類や重症度により、薬物治療・デバイス治療を適切に選択します。失神の治療は、原因の治療になります。
内科療法
- 抗不整脈薬(リズム・レート調整)
- 抗凝固療法(心房細動に伴う脳梗塞予防)
ペースメーカー・ICD治療
- 徐脈性不整脈(洞不全、房室ブロック):ペースメーカー植込み
- 致死性心室不整脈:ICD(植込み型除細動器)植込み
- 心不全併存例ではCRT(両室ペーシング)植込み
カテーテルアブレーション
- 「カテーテルアブレーション」とは、心臓の中にカテーテル(細い管)を入れて、不整脈の原因となっている“異常な電気信号の発生場所”を焼灼(しょうしゃく=熱で焼く)する治療法です。
不整脈・失神に対する当院総合心不全センターの特色
- 「ときどき起こる」発作を見逃さないICM精査体制: 原因不明の失神やふらつきに対して、積極的にICM植込み検査を行っています
- 脳梗塞・心不全と連動した包括的管理: 心房細動の抗凝固や心不全合併の治療も一貫対応します。
- 高齢者にもやさしい検査・治療方針: 皮膚下への簡易なICM留置・在宅モニタリング連携も注力します。
- 紹介元医療機関への迅速な情報提供: ICM所見・アブレーション適応などを的確にレポートします。

